犬のピエルは、考えた。  

沙須賀家にやって来た保護犬のピエル(本名:ジャン・ピエール)が、語り始めた。 家族は旦さん、奥ちゃん、ライちゃん、ラタくん。

旦さんとボク ~高学歴で清貧で~

旦さんは、 沙須賀 さすが 家のお父さん。旦ちゃんの旦那さんだ。

この家に犬が欲しいと懇願したのは、娘のライちゃんなんだけど、毎日、ボクを散歩のお供にしてくれているのは、旦さんだ。

ボクは、家族みんなのことが好きだ。

でも、犬は、ものごとに順番付ける性質をもってる。この家のボスである旦さんを、ボクは一番好き。いつもそばにいる。

あまりにべったりするので、奥ちゃんには、

「ピエロ、気持ち悪いよ。旦さんへの愛が止まらないの?」って言われてる。

 

日中は、ライちゃんもラタくんも学校に行く。

イコちゃんは、外で働いている。

でも、旦さんは、家にいることが多い。

旦さんは、普段は 日中家で仕事をしている。そうかと思うと、朝早くから遠くの町に出かけてしまって、帰ってくるのは夜遅くとか、次の日のこともある。

『センセー』って呼ばれる仕事をしているらしい。何かの専門家なんだ。

旦さんのお母さん(つまりライちゃんたちのおばあちゃん)は、息子に世間で偉いと言われる職について欲しかったんだって。 

旦さんは『ハカセゴー』を持ってる。

だから、すごくないわけじゃないだけど、なんせお金持ちじゃない。どちらかと言えば、かなり持ってない。おばあちゃんは、それが悲しいんだって。 

ある時、テレビで「高学歴貧乏」という特集をみて、「あああああ、それは、うちの旦じゃないの!」とショックを受けてた。旦さんをみると「高学歴貧乏」と言い続けるので、旦さんは苦笑いしてる。 

最近、奥ちゃんが、朝ドラで「清貧」という言葉を聞いてきた。

沙須賀家は、「清貧」だと思うことにした、って言ってる。 

《うーん、我が家はそれとは、ちょっと違うような気がするなあ。。》

ボクがそう言ったんだけど、奥ちゃんは聞く耳をもたなかった。

まあ、いいか。

 

旦さんはボクの大好きないろんなことを知ってるセンセーなんだ。

大きな手で撫でてもらうとすっごく気持ちがいいんだよ。 

散歩仲間で、昼寝仲間で、いつもそばにいる、ボクの友達なんだ。

 

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