犬のピエルは、考えた。  

沙須賀家にやって来た保護犬のピエル(本名:ジャン・ピエール)が、語り始めた。 家族は旦さん、奥ちゃん、ライちゃん、ラタくん。

ラタくんとボク ~平和を愛しすぎるミドルスクーラー~

数日前にも書いたけど、ラタくん(中学生)はネコ派だ。

大人になったら、ふわふわの白毛のネコを飼う予定なんだって。 

ボクがこの家に来て、二年。 最近ラタくんとボクは、かなり仲良くなった。

 

時々、ボクはお父さんの旦さんに叱られる。 

理由は、我慢が出来ないから。 我慢は苦手なんだ。

みんなそれぞれ、苦手なことってあるでしょ。

おいしそうなにおいがしていると、どうしても近くでクンクンとにおいを嗅ぎたくなってしまう。
さっきも、テーブルの上にあったチーズをクンクンしてたら
「こらあああ、ピエル!!!」って、旦さんに怒られちゃった。

 

ラタくんは、他人が怒られるのを見たり聞いたりするのが大嫌い。 

平和を愛するヤツなんだ。 

ボクが怒られてると、ラタくん自身が怒られてるのと同じように感じるんだって。

 

この前の家族の留守中のこと。

ボクは、台所に侵入してパンの袋を開けちゃった。 台所の床は、パン屑と袋がおちて散らかった。

一番先に帰宅したラタくんは、びっくり。

『このままでは、ピエルが怒られてしまう』と証拠隠滅を始めた。

散らかってる袋やパンくずを片付けてくれたんだ。

 

残念だったのは、ラタくんの仕事は、完璧じゃなかったこと。

パンの袋とパン屑がまだ床の上に残ってた。

結局ばれちゃった。 

ボクは、怒られた。

おまけに、ラタくんまで怒られてた。

「どうして ピエルをかばうんだ!」って。とばっちりだね。

 

それでも、ラタくんは、ボクに怒ったりはしないんだ。いい奴だ。

台所には、ボクが留守中に入れないように、鍵がかけられた。 

 

それからラタくんは、外出前には鍵がかかっているのをしっかり確認する。

外出するときは、ボクに念押しする。

「ピエル。ここは、ダメだよ。」って。

 

ハイハイ、わかってますよ。

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